赤りんご





「お前単純だなー」



「ひどーい!!!」




今日一日、ホントに水嶋くんにはからかわれっぱなし…




「嘘嘘!素直なんだよな!」



でもやっぱり、この笑顔には勝てない。



悔しいな…





「水嶋くん、背おっきいね!」



「俺183センチ。お前もちっちゃいぞ。」



「私は154センチ。」




かなり見上げないと視線が合わない。



だって水嶋くんの肩ぐらいが、私の目線の先だもん。






「あー!またお前俺に見とれてた!」



「はっ?見とれてないー!!」




出会って間もないのに、そんな気がしないのは何故だろう。



水嶋くんってちょっと不思議。






「ほらー!電車来たぞー」



「うん…」




電車の中は結構すいている。




「あそこ空いてんじゃん、座れよ」



「いいよ!2駅だもん。」



さりげない優しさが何だか嬉しくて、口元が緩んでしまう。





こんなに優しい人なのに…



「何で水嶋くん、みんなに冷たいの?」









< 18 / 215 >

この作品をシェア

pagetop