赤りんご
「お前単純だなー」
「ひどーい!!!」
今日一日、ホントに水嶋くんにはからかわれっぱなし…
「嘘嘘!素直なんだよな!」
でもやっぱり、この笑顔には勝てない。
悔しいな…
「水嶋くん、背おっきいね!」
「俺183センチ。お前もちっちゃいぞ。」
「私は154センチ。」
かなり見上げないと視線が合わない。
だって水嶋くんの肩ぐらいが、私の目線の先だもん。
「あー!またお前俺に見とれてた!」
「はっ?見とれてないー!!」
出会って間もないのに、そんな気がしないのは何故だろう。
水嶋くんってちょっと不思議。
「ほらー!電車来たぞー」
「うん…」
電車の中は結構すいている。
「あそこ空いてんじゃん、座れよ」
「いいよ!2駅だもん。」
さりげない優しさが何だか嬉しくて、口元が緩んでしまう。
こんなに優しい人なのに…
「何で水嶋くん、みんなに冷たいの?」