赤りんご
「亮太どこ行くの?むやみに動いたらバレちゃうよ…」
小声で囁くと、亮太も同じように答えた。
「大丈夫…ここまで来るのに誰にも会わなかったから!」
嬉しいけど…
でも大丈夫かな?
先生にバレたら、大変なことになっちゃうよ…。
亮太が連れて来てくれた場所。
それは、一日目の夜に二人でずっとくっついていた階段の扉の前。
「ここ?」
「うん」
確かに…ここなら誰も来ないし安心かも。
ドアを開けて中に入ると、亮太は階段を登りだした。
「上に行くの?」
「うん」
一体どうしたんだろう。
上に何かあるのかな?
薄暗い階段に、私たちの足音が微かに響く。
とりあえず亮太に着いて階段を上がっていくと、行き止まりになっていた。
「よーし、着いた!」
ここ…もしかして最上階?
分厚い扉の前に立ち、
亮太がドアノブに手をかけた時だった。