赤りんご
紺野先生は私たちを叱るどころか、何も言えなくなってしまっていた。
しばらく沈黙が続き、二人は黙り込んだまま、俯いてしまった。
もう見てられないよ…
「先生…えみちゃん、ゴメン…私知ってたんだ」
「俺も…」
「え?」
二人は目を丸くして私たちを見つめた。
「先週の日曜日、二人が食事してるところをたまたま見たんだ」
「えみちゃん…黙っててゴメン!でも私、誰にも言ったりしないよ!」
紺野先生とえみちゃんは、何か相槌をしているように見えた。
「悪い、お前たちに見られてたなんてな…正直に言う。俺は、本多と付き合ってる」
「りい…話せなくてゴメンね」
強い眼差しで私たちを見つめる二人。
本気なんだって、分かった。
こんな形になってしまったけど、ごまかさずに、えみちゃん自身から本当のことが聞けて嬉しかった。