赤りんご




「気にすんなよ!俺だって誰にも言うつもりなんて全くないから」



「水嶋、廣瀬…ありがとう。お前たちに、こんな風に世話になるなんて思わなかったけどな…」



紺野先生は頭をかいて苦笑した。



「でも何でお前達がここにいるんだ?」



「先生たちと同じ理由だよ!」



同じ理由…?



「そうか…俺も叱れる立場じゃないからな。ここは見過ごすよ」



「助かったよ先生、ありがとな!」



「ただし…お前たちクラスの部屋の周辺の見回りは、2時まで俺の担当だ。それ以降は違う先生が来る。気をつけろよ」



「分かった」



亮太と先生のやり取りを、しばらく黙って見ていた。



先生は、見回りの時間を利用してえみちゃんと会ってたんだ。



2時以降は違う先生が見回りに来るから、それまでに部屋に戻れってことだよね。




「りい…後でちゃんと話すから!」



「うん…」



「お前ら、あんまりいちゃつくなよ〜!」



紺野先生は優しく微笑んでから、えみちゃんの手を取って階段を下りて行った。




< 189 / 215 >

この作品をシェア

pagetop