赤りんご





その姿を確認してから、私たちはドアの向こうに足を踏み入れた。



そこは屋上だった。




「うわあ…!!すごーい!!」



まるで別世界…



キラキラした北海道の夜景。




紺野先生も亮太も、『同じ理由』でここに来たのは、こういうことだったんだ…。




「すっごい嬉しい…亮太ありがと!」



「先生も知ってたのはちょっと悔しいけどなー」




こんな風に、私を喜ばせるために考えてくれていることが嬉しい。



一瞬、涙で夜景が霞んで見えた。




「亮太…大好き」



「俺も好き」



「ありがとう…」



照れ臭そうに笑う亮太にキスをした。



目一杯、背伸びをして…



唇が軽く触れた。




「へへ…得したな!もう一回…いただき…」



今度は亮太が私にキスをした。



チュッと軽く音を立てて、一瞬だけ触れ合う唇。




何だか、心が暖かい。



おでこをくっつけ合って、二人でクスッと笑った。




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