赤りんご
でも……
「亮太…」
「ん?」
「……寒いね」
「……確かに…」
おかしくなって笑ってしまった。
北海道の夜はかなり冷える。
パーカー1枚で来るんじゃなかった。
「じゃああっち向いてて」
「うん…」
亮太の言う通りに、夜景の方へ体を向けた。
「わっ…」
それと同時に、亮太に後ろから抱きしめられた。
「こうしたら寒くないし、夜景も見れてちょうどいいだろ?」
耳元で囁く亮太の声が、私を気絶させるくらいドキドキさせた。
「そうだね…」
心も体も、暖かい。
最後の夜に、こんなに最高な思い出が出来て、本当に良かった。
「…でも、さっきはびっくりしたね。紺野先生とえみちゃんに会うなんて思わなかった」
「そうだなー。遭遇したのが俺たちで良かったけど」
「ホントだね…」
「バレなきゃいいけど…これからずっと大変だろうな」
それから時間ギリギリまで、私たちはくっついていた。
ずっとずっと、亮太にギュッとされながら夜景を見て話していた。