赤りんご
二人の秘密
無事に部屋へ戻ると、えみちゃんはまだ起きていた。
「おかえり…どうだった?」
「うん、最高だった!」
えみちゃんはニッコリ笑って布団から出た。
二人で部屋の隅に移動して、一緒にかけ布団を被ってうずくまった。
「ちゃんと話すね…」
「うん」
私も覚悟を決めた。
知ってしまった以上、絶対誰にも言っちゃいけないんだから。
それを紺野先生は、体を張って守ってきたんだよね。
「先生とは、去年の7月から付き合ってるんだ…」
「うん…」
もう、1年以上経つんだ。
「でも知り合ったのは、私が中等部に通っていた頃からだったんだ。中3の冬に、初めて先生を見た」
「結構前なんだね」
「うん、その時私は桜林の2年と付き合ってて……」
言葉を詰まらせたえみちゃん。
暗闇の中で、一筋の涙が見えた。