赤りんご
「大丈夫?無理しなくていいよ…」
「大丈夫…ちゃんと話せる」
えみちゃんは一度深呼吸をして、また話し始めた。
「その時の彼氏に、よく暴力奮われてて…別れたかったんだけど、そうもいかなくって。…高校の近くで叩かれた時に、先生が助けてくれたの」
「その彼氏とはどうなったの?」
「先生のおかげで、別れることが出来たんだ。それからまあいろいろあって、付き合ったの」
「そうなんだ…」
「えっ?何でりいが泣いてるの!?」
「分かんない…」
いつの間にか泣いていた。
知らなかった…
えみちゃんの過去。
そんなに辛いことがあったなんて…
考えるだけで涙が溢れた。
えみちゃんの傷を、先生が癒して…
今までこうやって、愛を育んできたんだね。
「私は過去が辛かったからじゃなくて、今が幸せだから泣いてるんだよっ」
「うん…うん!」
二人でずっとずっと、泣きつづけた。