赤りんご
由美や彩花に気付かれないように、声を抑えるのに必死だった。
「今でも思い出すだけで泣けてくるんだ…先生がいなかったら、今の私はいないから」
「由美や彩花には話さなかたの?」
「うん。絶対にこの恋は守りたかったから…誰にも話せなかった」
「そっか…」
「ホントはみんなに話したかった。嘘なんてつきたくなかったんだけど…こうするしかなかったから」
私が思っていた以上に、二人は真剣なんだ。
誰にも言えないくらい、命懸けの恋なんだ。
教師と生徒の恋愛は、やっぱりダメなんだろうけど
先生も相当の覚悟で付き合ったんだ。
「やっぱりまだ、誰にも話す勇気はないんだ…りいに話すだけで精一杯なの」
「うん…」
「だから、由美や彩花には言わないで…言える時がきたら、ちゃんと話すから」
「分かった。えみちゃん頑張ってね。私二人の味方だから!」
「ありがとう」
えみちゃんは目を潤ませて、優しく微笑んだ。