赤りんご
おそろい
「なんだお前、寝てないのか?」
「うん…」
修学旅行最終日の朝、
今日もバスの中では亮太の隣。
朝まで語り明かした私とえみちゃんは、一睡もしないままバスに乗った。
「さすがにキツイなー…」
バスが動き出すなり、えみちゃんは静かに眠り出した。
「お前も寝たら?肩貸してやるから」
私の耳元で囁く亮太に、「ありがとう」と言って亮太に甘えることにした。
宿舎を出発してから約1時間。
亮太のおかげで少しは疲れが取れた。
「ほら行くぞ!」
「ちょ…いきなり引っ張らないで〜!」
夢と現実が交差する中で、亮太は私の腕を引っ張ってバスを降りた。
そういえば、最終日はお土産屋さんに行くんだっけ…。
バスを最後に降りたのが私たち二人だけだったみたいで、みんなぞろぞろと前を歩いていた。