赤りんご
少し足を進めた。
すると、りんごの木の絵と向かい合って座る男子の後ろ姿があった。
水嶋くんだ…
今度は逆の立場。
よし、驚かせてみよう♪
「……ここで何してるの?」
水嶋くんはこっちを見ようともせずに、ただ絵を見てこう言った。
「絵見てんの。お前にそっくりだなーっと思って。」
水嶋くんはくるっとこっちを振り向いて、ニヤリと笑った。
「何で分かったのー!?」
「バーカ、ここに来てんの俺とお前しかいないだろ。」
「あ…そうだった」
「何でこんな早く来た?」
「初めて行ってから一度も行ってないから…何となく来たくなったの。水嶋くんは?」
「俺も何となく」
一つ空けて隣に座った。
そうだ…
あのこと、言わなきゃ…