赤りんご
彩花には悪いと思う半面、何故か嬉しくなる自分がいる。
彩花の頼みを心の中で素直に受け入れることが出来ていなかった自分がいる。
水嶋くんにからかわれて、それが実は嬉しいと思っている自分がいる。
心に引っ掛かっていたもの
ずっとモヤモヤしていたもの…
それが一体何なのか…
水嶋くんの手の温もりを感じて、やっと気付いた。
これは多分…恋なんだ、と。
きっとこれは、恋なんだ。
小さな嫉妬も、
安らぎを感じる二人だけの時間も、
憎めない優しい笑顔も見離せなくて…
全部、全部…
これは恋なんだ…
きっと、
あの図書館で初めて出会った頃から、私は恋をしていたんだ。