赤りんご
片想い
6月に入った。
ポカポカとした暖かい天気から、ずいぶん暑くなった。
制服もポロシャツに変わり、夏を感じさせる。
あの日から、彩花は水嶋くんによく話しかけるようになった。
水嶋くんは、彩花のアタックにクールに対応していた。
「水嶋くん」
彩花の声が聞こえる度に、胸がすごく痛んだ。
嫉妬…っていうやつ。
彩花とは、一緒にお弁当も食べるし、トイレにも一緒に行く。
周りから見たら、仲の良い4人組だろう。
ただ何となく気まずい雰囲気になっているのは、由美もえみちゃんも気付いてる。
由美から聞いたことだけど、どうやら彩花は、えみちゃんに恋の相談をしているらしい。
由美に話せない理由も何となく分かる。
由美と彩花は昔大崎くんのことでいろいろあったからだ。
水嶋くんは、何回か遅刻をしながらも、毎日学校に来ていた。
何度か朝早く図書館に行ったけど、会うことはなく、放課後はたまに電車のホームで会うことがあった。
「ちびりんご」というあだ名も、水嶋くんに言われると平気。
むしろちょっと嬉しいくらい。