赤りんご
それから一週間、休み時間に何度かあの人は水嶋くんに会いに来た。
「亮太!」
「…何だよ」
特別嫌そうな顔でもなく、水嶋くんは教室を出て行く。
大崎くんにしつこく「誰?」と聞かれてもはっきりと答えない。
彩花は、いつもその場面を真っすぐな目で見つめていた。
もう限界だよ…
はっきりしてよ…
はぐらかされる方がもっと辛いよ。
恋ってこんなに苦しいの?
片想いってこんなに辛いの?
授業中、寝ている私の頭をツンツンと突く水嶋くん。
「なに…?」
反応してしまうのは、やっぱり水嶋くんが好きだから…
「先生に怒られるぞ〜」
左を向くと、ニコッと笑う水嶋くんと目が合う。