赤りんご
『サキ』
この前一度だけ水嶋くんの口から聞こえた名前。
水嶋くんの彼女の名前。
「亮太体育祭来るよな?」
「体育祭?面倒くさそうだな」
もうすぐ体育祭…
今の私にはどうでもいい。
「来いよ〜!」
「考えとく」
こんなに落ち込んでるのは私だけ?
バカみたいじゃん…
私、どうしたらいいの?
真っ暗になった気持ちは晴れることはなく、体育祭を迎えた。
彩花も相当落ち込んでいるようだった。
私はみんなの競技中も、テントの下でずっとぼーっとしていた。
「暑いね〜りい大丈夫?」
「うん…」
時間はあっという間に過ぎて、お昼休みになった。
暑がる生徒はみんなクーラーの効いた校舎に戻って行った。
由美たちと相談して教室でお弁当を食べることにした。
「あれ?」
いない…
ずっと上の空で人も多かったせいか、由美たちとはぐれてしまった。