赤りんご
仕方ない…
探しても一緒だし、一人で教室に戻ろう。
教室に行けば由美たちと合流出来るよね。
その時だった。
「亮太!お弁当持ってきたよ!」
もう聞き慣れてしまった声。
目の前に映る光景。
「あ、悪い。」
彼女が作ったお弁当を、受け取る私の好きな人。
『サキ』さんはお弁当を渡して校舎に戻って行った。
もう嫌だよ…
嫌だよ…
こんなの耐えられない。
何で…見ちゃったんだろう…
彼女がいるのに、好きって気持ちは止められなくて…
苦しい…辛い。
気がついたら走っていた。
今にも泣きそうで、唇を噛み締めて図書館に逃げ込んだ。
どうしてここに来たのか自分でも不思議に思った。
いくら水嶋くんとの思い出でも、きっと私の居場所は図書館しかなかったんだ。