赤りんご
勢いよく図書館のドアを開けて、あの絵の前にしゃがみこんだ。
「ううっ…」
我慢に我慢を重ねたせいで、涙が止まらなかった。
水嶋くんのことが好き。
大好き……
だって、初恋だから…
初めて好きになった人だから。
ちょっかいをかけられるのが嬉しい。
ずっと隣で笑っていたい。
でも、この想いは報われない。
両想いよりも片想いの方が良いという人がいるけれど、私はそうは思わない。
片想いがこんなに苦しくて切ないものなら、恋なんてしなければよかった。
タタタタタ…
外から足音が聞こえる。
こっちに来る…?
ヤバイ…誰か来たかな…。
さすがに誰か先生に気付かれてしまったのかもしれない。
その場に立ち上がって、必死で涙をタオルで拭った。