赤りんご
「おい!何してんだ!?」
え……?
嘘……
嘘でしょ……
まさか…来るなんて思わなかった。
「水嶋くん…」
珍しく息を切らして真剣な表情だった。
「お前が走ってどっか行ったから何かあったのかと思って…」
すごく嬉しかった。
私に気付いて追いかけてくれた。
でも、やめてよ…
優しくしないで…
「何もないよっ!」
泣き顔を見られないように図書館を出ようとした。
「嘘つくな」
強い力で腕を掴まれた。
チラッと水嶋くんを見ると、右手には青い布地に包まれたお弁当…
「ほっといて…」
水嶋くんは私の腕を引っ張って、右手で私の頬を触った。
「泣いてたの?」
水嶋くんの目を見ることが出来ない。
「泣いてないよ…」
「何なんだよ…」
水嶋くんは深くため息をついた。