赤りんご

縮まる距離







「お前最近俺のこと避けてるだろ」




「早く戻ってお弁当…食べたら?午後の部始まっちゃうよ。」



「…そんなんどうでもいい。質問に答えろよ」



「……………」




どうでもよくないじゃん。



彼女が作ったお弁当だよ?



いっそのこと、嫌われた方が楽なのかもしれない。



そしたらもっと簡単に、忘れられるのかもしれない。









「私に構わないでよ!!関係ないじゃん!」



「何言ってんだよ!お前最近変だぞ?」



「だからほっといてよ…!」



本当はこんなこと言いたくない。



泣きたいくらい苦しいよ…






「お弁当…




彼女にせっかく作ってもらったんだから、食べてあげなよ!!」




張り上げた大声が図書館に響き渡った。



今にも泣きそうな目で睨むと、水嶋くんは驚いた顔をしていた。






「何だよそれ…」




言ってしまった…


彼女のこと…。










< 41 / 215 >

この作品をシェア

pagetop