赤りんご
「ゴメンね…」
全部嫉妬が巻き起こした勘違い。
この気持ち、もう本人は気付いてる…?
「お前…からかっても反応してくれねえし、何か俺悪いことしたかなって思ったけど」
もう、気付いてるよね…
「ちょっと寂しかった。」
その言葉だけで十分。
十分嬉しいよ…
「ありがと。」
やっと笑顔になれた気がした。
最近笑うことさえ出来てなかったと思うから……
パーン!!
「……?」
ピストルの音……?
「ヤバイ!午後の部始まっちゃったよ!?早く戻ろうよ!」
「えー面倒くさい」
ホントに面倒くさそうに水嶋くんは椅子に座った。
「水嶋くんだって出るんでしょ?」
乗せられて私も水嶋くんの隣に座った。
「俺綱引きだけだしダルイからパス!お前は何出んの?」
「私は玉入れ…」
「出ても出なくても一緒だろ?」
確かに…
ホントは体育祭なんてあまり好きじゃなかった。