赤りんご
「お前いま…緊張してる。」
「…何で?」
何で分かっちゃった…?
「ほっぺた赤い…りんご色だ。」
水嶋くんにはなにもかもお見通しで、おかしくなって笑ってしまった。
「水嶋くんに嘘はつけないね…」
「当たり前だ。それに、ほっぺたすっごい熱いよ。」
水嶋くんはクスッと笑った。
「水嶋くんは…?」
水嶋くんは、ドキドキしないの?
「俺も緊張してる」
「嘘〜!顔赤くないじゃん!」
「俺は顔に出ないんだよ!」
水嶋くんはニヤッと笑った。
「私ね…水嶋くんに彼女がいるって勝手に思いこんで、何だかすごく寂しくなった。」
「うん」
「彼女いるのに、やっぱりちょっかいかけられるのが嬉しくて…逆に辛くもなったんだ。」
「うん」
「だから、彼女じゃないって知って、ホントに安心した。」
「うん」
「さっきもね、お弁当渡してるとこ見ちゃって…逃げ出したくなったんだ…」
水嶋くんは、何度も「うん」と頷いて聞いてくれた。