赤りんご
「彩花から聞いたんだ。」
え……
彩花が…?
「何で彩花が知ってるの?」
「私も何でかよく分からないんだけど…」
「そっか…」
「それでね、彩花がりいと話したいんだって…!今多分体育館の前で待ってるはずだから…」
「体育館…」
「うん…彩花なりにけじめつけたいんだと思うよ!」
「…分かった!ありがとう、行って来るね。」
そうだよね。
好きな人と両想いになって、幸せになるんじゃない。
その分傷付いた人だっている。
堂々と付き合うなら、けじめをつけなきゃいけない。
一度きりの彩花との出会いを、無駄になんて出来ないから…
彩花だって、ライバルだけど私の友達だもん…。
「りい!どこ行くの?」
「ゴメンね!ちょっとトイレ!」
由美にも後でちゃんと言おう。
最近やっと覚えた体育館へ続く廊下を必死で走った。