赤りんご
彩花は私に堂々と水嶋くんが好きだと言った。
それなのに私は何も言えなかった。
彩花は私と向き合おうとしてくれたのに、私はいつも逃げていた。
だから、向き合えるのは今しかない。
「彩花…」
体育館の前には、少し元気のない彩花がいた。
「りいちゃん!呼び出してゴメンね」
「ううん、全然平気…」
何秒くらい経っただろう…
少し沈黙が続いた。
「あのね…」
先に口を開いた私の言葉を彩花が遮った。
「りいちゃん、おめでと!」
「えっ…?」
予想もしない彩花の言葉。
「水嶋くんと付き合ったんでしょ?」
「…うん」
彩花は、とびっきりの笑顔で祝福してくれた。
ビックリした…
だって本当は、何言われるのか不安だったし…。