赤りんご
彩花は話し続けた。
1年の終わりから、何となく水嶋くんに興味があって…気が付いたらいつも目で追っていた。
相手にされていないことはずっと気付いてたけど、どうしても諦めることが出来なかった。
時々来ていた水嶋くんのお姉さんのことも、最初は彼女だと思ったみたいだけど、先輩に聞いて名字が一緒だということを知ったらしい。
「最近そのバスケ部の先輩に告られて、返事待ちしてもらってるんだ。超良い人だし、付き合おうと思ってる。」
「私が言うのも変だけど…彩花無理してない…?」
「無理してないよ!ずっと迷ってたの。でも、これで踏ん切りついた。」
「ホントに?」
「うん!りいちゃんのおかげ!ありがとう。」
『ありがとう』なんて…
彩花に言われるなんて思わなかった。
逆だよ…
『ありがとう』って言わなきゃいけないのは私だよ。