赤りんご






彩花は話し続けた。




1年の終わりから、何となく水嶋くんに興味があって…気が付いたらいつも目で追っていた。




相手にされていないことはずっと気付いてたけど、どうしても諦めることが出来なかった。




時々来ていた水嶋くんのお姉さんのことも、最初は彼女だと思ったみたいだけど、先輩に聞いて名字が一緒だということを知ったらしい。






「最近そのバスケ部の先輩に告られて、返事待ちしてもらってるんだ。超良い人だし、付き合おうと思ってる。」




「私が言うのも変だけど…彩花無理してない…?」




「無理してないよ!ずっと迷ってたの。でも、これで踏ん切りついた。」



「ホントに?」




「うん!りいちゃんのおかげ!ありがとう。」




『ありがとう』なんて…



彩花に言われるなんて思わなかった。




逆だよ…



『ありがとう』って言わなきゃいけないのは私だよ。












< 64 / 215 >

この作品をシェア

pagetop