赤りんご
窓からポカポカとした暖かい日差しが差し込む。
雲一つなく、今日はいい天気だ。
由美たちに気付かれないように、4限目の授業をサボって教室を抜け出した。
慣れない広い校舎を何とか抜け出して、静まり返った廊下を渡ってある場所に向かった。
さっきの休み時間、由美たちに学校の中を案内してもらった時に、この孤立した校舎が気になったんだ。
確か図書館だったっけ…
この学校には図書室がない代わりに、大きな図書館があるらしい。
利用する人はあまりいないと言っていた。
「古い建物…」
ゆっくりドアを開けて、
図書館に足を踏み入れた。
もちろん誰もいない。
大きな本棚に、数えようもないくらいたくさんの本が並んでいる。
古い建物独特の匂いがした。
ここ、静かでいいかもしれない。
六人掛けの椅子と机がいくつか置いてあったので、適当に座った。