赤りんご






待ちわびた昼休み




由美たちには、適当にごまかして教室を抜けた。





「ラブラブでいいね〜♪」



とか言われてバレバレだったんだけど…





外からは暑い日差しが差し込む。



セミの鳴き声も聞こえる。




もうすっかり夏だね。





この学校に来て2ヶ月が過ぎた。




まだ慣れないけど、図書館へ続く道はもう覚えた。





ガラガラガラ…




図書館っていつも開いてる。



誰も使わないのに、体育祭のときも開いてたよね。



まあ…ありがたいんだけど…!





水嶋くんはまだ来ていないようだ。





「1番乗り…!」




……あれ?




机の上に何かある。






手に取った。




りんご味の飴ちゃん…





「俺が1番乗り〜!」



大きな本棚からひょこっと顔を出す水嶋くん。




「なんだあ…」



「残念でした!」




こんな無邪気な顔も、大好き。









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