赤りんご
ちょうどその目線の先には、大きな絵が壁に掛けられている。
大きな真っ赤なりんごの木の絵だった。
誰が描いたのかも分からない。
でも…
なかなかいいね、ここ。
気に入った。
しばらくその絵に見とれてしまった。
何となく…落ち着く。
「ここで何してんの?」
「えっ!?」
もしかして…先生にバレた…?
ハッと後ろを振り向くと、 そこに立っていたのは学ランを着た男子だった。
この学校の生徒だ。
「授業サボッたの?」
「はい…」
まさかこんな時に誰か来るなんて思わなかった。
気まずい……。
「何年生?」
「……2年です…」
その人は、初対面にも関わらず、明るいトーンで話し掛けてくる。
何?何?何なの!?
私が座っている机まで来て、ひとつ空いたその隣に座った。