赤りんご





ちょうどその目線の先には、大きな絵が壁に掛けられている。



大きな真っ赤なりんごの木の絵だった。



誰が描いたのかも分からない。




でも…


なかなかいいね、ここ。




気に入った。





しばらくその絵に見とれてしまった。



何となく…落ち着く。







「ここで何してんの?」





「えっ!?」





もしかして…先生にバレた…?




ハッと後ろを振り向くと、 そこに立っていたのは学ランを着た男子だった。



この学校の生徒だ。





「授業サボッたの?」



「はい…」




まさかこんな時に誰か来るなんて思わなかった。



気まずい……。





「何年生?」



「……2年です…」



その人は、初対面にも関わらず、明るいトーンで話し掛けてくる。




何?何?何なの!?




私が座っている机まで来て、ひとつ空いたその隣に座った。











< 8 / 215 >

この作品をシェア

pagetop