赤りんご
甘いキス
「行ってらっしゃい!」
ニコッと笑う若い係員さんの声とともに、ガシャンと扉が閉まった。
観覧車なんて、何年ぶりだろう。
密室…
やっぱり緊張する…!
「何か向かい合ってんのも変な感じだな…!」
そう言って亮太は私の隣に座った。
「こっちの方が落ち着くな。」
「そうだね…!」
何もないように私の手を握る。
嬉しいけど…
私ばっかりドキドキしてる…。
ちょっと悔しい。
「なかなかキレイだなー」
その言葉で外に目をやった。
「ホントだー!」
私も亮太も目を丸くして景色に見入った。
色鮮やかなイルミネーション。
「すごいね…!」
「そうだなー、初デートの記念だな!忘れたくないな。」
「うん!!」
いつの間にか緊張はほぐれて、私はずっと笑っていた。
亮太との思い出だもん。
私も忘れないよ…。