赤りんご
「学年同じじゃん!でも見ない顔だな?ここに来たの初めて?」
「…今日転校して来たから。」
「そっかあ!名前は?」
「廣瀬里衣。…あなたは?」
「俺は水嶋亮太。ヨロシク!」
「ヨロシクね。」
この学校は、みんな気さくでいい人ばかりなんだね。
「ここ、いいだろ?」
「うん、ここ落ち着くね。」
「たまに来るんだ、息抜きしたい時とかに、誰もいないからちょうど良くて!!」
良い人だけど…
この人は何か違う。
何か……寂しそう。
りんごの絵を見つめる水嶋くんは、とても優しい目をしていた。
でも口元は、微笑んでいるようで、どこか寂しそう…。
気のせいかもしれないけど。
「俺の横顔に見とれんなよ!」
ニヤッと笑って頭をポンッと叩く。
思わず見すぎちゃった…?
「み…見とれてないし!!」
「絶対いま見てただろ!!」
「見てないもん!!」
プイッと顔をそらした。
まあ見てたのは事実だけど…。