赤りんご





「学年同じじゃん!でも見ない顔だな?ここに来たの初めて?」



「…今日転校して来たから。」




「そっかあ!名前は?」



「廣瀬里衣。…あなたは?」




「俺は水嶋亮太。ヨロシク!」



「ヨロシクね。」




この学校は、みんな気さくでいい人ばかりなんだね。






「ここ、いいだろ?」



「うん、ここ落ち着くね。」



「たまに来るんだ、息抜きしたい時とかに、誰もいないからちょうど良くて!!」




良い人だけど…



この人は何か違う。



何か……寂しそう。




りんごの絵を見つめる水嶋くんは、とても優しい目をしていた。



でも口元は、微笑んでいるようで、どこか寂しそう…。



気のせいかもしれないけど。





「俺の横顔に見とれんなよ!」



ニヤッと笑って頭をポンッと叩く。





思わず見すぎちゃった…?




「み…見とれてないし!!」



「絶対いま見てただろ!!」



「見てないもん!!」




プイッと顔をそらした。




まあ見てたのは事実だけど…。










< 9 / 215 >

この作品をシェア

pagetop