赤りんご
観覧車は頂上を過ぎて、気付けばあと4分の1ぐらいで終わるところだった。
「亮太、飴舐めてる?」
「うん、さっきまで」
やっぱり…!
唇が触れた時、甘くていい匂いがした。
さっきは突然過ぎて気付かなかったけど…
「りんご味でしょ?」
「よく分かったなー!」
「うん…甘かったよ、亮太のキス。」
亮太は珍しく顔を赤くして、咳ばらいをした。
「うっせえよ…」
「カワイイ…照れてる!!」
そんな亮太をからかって、私はずっと笑っていた。
この観覧車の中で、
忘れられないことがたくさんあった。
亮太と一緒に乗れたこと。
ずっと手を握ってくれたこと。
キレイな夜景を見れたこと。
突然キスされたこと。
優しく、キスしてくれたこと。
初めてのキスは、優しくて甘い甘い…りんご味のキスだったね。