赤りんご
「うん、元カノ…」
亮太は気まずそうに答えた。
「そうなんだ!カワイイ人だね!」
わざと明るく振る舞った。
そうでもしないと、きっと亮太は私に気を使う。
今回だけは、表情を変えないように必死だった。
最初は驚いていた亮太も、すぐにまたいつもの亮太に戻った。
「…行くぞー」
「うん」
また私の手をとって歩き出した。
気にしちゃいけない。
亮太にだって、過去はある…
あの人は元カノ…
私は今…これからもずっと亮太の彼女だもん。
久しぶりに会ったっぽいし…
これからはもう会わないはず。
会わないでほしい…。
私も、もう少し自信を持たなきゃ。
亮太の彼女なんだから。
でも…でもね
一つだけどうしても気になってしまった。
何であの時、私の手…離したの?
…すごく寂しかったよ。