静かなキスを、君に。


「ゆず、なんだか凄く幸せそうだよ」

「そうかな?」

「うん」

「たとえ想いを伝えられなくても、見てるだけで幸せなんだ」










あなたの真剣な顔が好き









あなたの眼鏡の奥の綺麗な澄みきった茶色い瞳が好き








ほとんどしゃべらないけれど、前図書館の人に本の場所を聞いてたときにこっそり聞いたあなたの声が好き













今はまだないだけで、

きっとあなたを知っていく度に


「好き」が増えるよ。









「好きなのになぁ…」

「………何が?」






「わぁっ!!」

「………」




――――そうだった


また考え込んじゃう前に友人と別れて、もう彼の前のいつもの私の席に座ってたんだ





結果としてみれば声聞けてラッキーだけど

『何が?』っていうすぐ言い終わっちゃう言葉だけど




「―――ふふ」





嬉しいんだなぁ、


こんなことが。




付き合ってる人や、周りから見れば小さなこと。





だけど


私から見ればすごく大きなこと。


大きな、


前進。





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