ゆき【短】
「ホワイトデー、何くれるの?」
いつもの調子で聞いたのに、ゆきちゃんの表情が暗い。
嫌な沈黙が流れる。
「・・・あ~ごめん、有紀。今年はお返し、あげられないかも。」
「え・・・?」
ゆきちゃんが、あたしをベットに座らせる。
そしてゆきちゃんは隣のあたしに、ゆっくり言った。
「・・・ごめん、有紀。俺、全寮制の高校に行くんだ。だから、卒業式が終わったらすぐ行かなきゃ行けない。
ホワイトデーの日、俺もうここには居ないんだ。」
―え・・・?
思考が停止する頭の中で、わかったこと。
ゆきちゃんが、いなくなる。