カメとうさぎの恋物語

カメの恋

はじめまして亀山さとしです。今、僕は都内でも大きい会社（兎原田出版社）と言う本などを出版する会社で働いています。順調に進み僕は大事な仕事を任されるほどになりました。会社の女の子にモテモテです。こうなるはずでした。しかし、現実は厳しいものです。中々うまく行きません。
現実の僕は会社でも邪魔な存在で女の子にも相手にされないダメな男です。仕事もコピーとかデータ入力する簡単な作業です。上司、先輩、後輩にバカにされ付けられたあだ名はカメです。亀山だからか鈍いからかどっちかわからないけど今の僕にはお似合いです。
「カメ！早くコピー持って来い。本当に鈍いな。」
「すみません。今すぐに。」
一日、何回怒られているのか数え切れないほど。みんなは僕に面倒な作業など押し付けて来ます。断れない自分も悪いのですが。仕方ありません。最近は会社にいるとストレスが溜まる一方です。
でも、僕にも気になる人がいます。隣の企画課で働いている兎原田なおみさんです。そう、会社と同じ名前。会社社長の娘さんになります。彼女は性格も優しいし仕事もできる人気者です。今日も忙しそうに仕事をやっています。
「カメ！枚数間違ってるぞ。」
「すみません。」
本当に僕はダメな男だ。
「気にするなよ。部長さ失敗したおまえをみんなの前で怒鳴りたいだけ。あんな奴無視しとけ。」
席につくなり励ましてくれたのは田中勇樹君。僕と同期入社でイケメンだ。しかも、勇樹君は仕事ができ頼れる存在だ。あと、何かと僕の面倒も見てくれるとてもいい奴だ。
「そうだ。今日も飲みに行かない？」
「ごめん。残業なんだ。明日にはデータ入力を終わらせないと。」
机にたくさんの紙の山。明日行われる会議の資料だ。今日中に終わらせないと部長のカミナリが僕に落ちる。残業は平均3〜6時間ある。けど、給料はあまり期待はできない。家賃と車のローンなどで一気に少なくなりお小遣も雀の涙。ため息しかでない僕の人生だ。でも、こんな僕でも楽しみがある。それは、お昼時間だ。半分以上の社員がここの食堂に集まる。つまり、僕の憧れの人兎原田さんに会えるのだ。