神のLetter
私は何も喋らなかった。
「いや、急に訪ねてきて驚いてるかもしれんがな……、」
「帰って……。」
いつの間にか口が動いていた。
こんなの私じゃないのに…。
「帰ってよ……。」
「竜也が死んだ。」
竜也……??
「お兄ちゃんが?」
「病気でな。
先日、息を引き取った……。」
人の死を味わうのは初めてだった。
私には、悲しいとか死ぬとか、分からない。
お兄ちゃんが死んだと聞いても涙、一つ出なかった。
「私が死ぬべきなのよ……。」
そう言って、玄関のドアを閉めた。
お兄ちゃんが死んだ……。