独眼狼ーワンアイウルフー
オフィスビルが立ち並ぶ、美しい街並み。
大勢の人で溢れかえるそこは、今は無きカルテルの街。
レクスはそんな中、1人で立っていた。
裸足でつったっているレクスを、街の人々は気にしていなかった。
それ以前に、レクスの存在に街の人々は気付いていない。
もう何人もの人々が、レクスの体を通り抜け歩いて行った。
レクスが通りすがりの人に手をのばしても、その体に触れる事なく手が通り抜ける。
「……まるで、幽霊…だな」
そう呟いたレクスの体を、また誰かが通り抜けて行った。
「!!」
レクスを通り抜けたのは、銀髪の少年。
それは、紛れもなく1年前の自分の姿だった。
『あ、待ってよ!!お兄ちゃん』
レクスは硬直した。
聞き慣れた、しかし今はもう聞けない声が後ろから聞こえたから。