独眼狼ーワンアイウルフー
レクスが振りかえるよりも先に1人の少女が、レクスの体を通り抜けた。
銀髪を揺らして、1年前の自分の後を追う少女。
「……エディリア…」
久しぶりに呼んだその名は、夢の中の妹…エディリアにすら届かない。
嬉しそうに1年前の自分と並んで歩くエディリア。
それを見て微笑む1年前の自分。
…今、自分はあんな風に笑えないなとレクスは思った。
レクスが2人の後を追おうとしたが、足が地面に縫い付けられたように動かない。
2人との距離が離れていくが、声だけははっきりとレクスの耳に届いた。
『お前も人の事言えねぇよな』
『なんで?』
『前に言ってただろ。私は敵機を討つ時に祈るようにするんだって……えっと…なんて祈るっつったっけ?』
『…あなた達にせめて安らかな眠りを』
『あぁ。それそれ』
『アレにはちゃんと意味が―…』
不意に、エディリアの声が途切れた。
「だめ、だ…」
レクスが肩を震わせた。
動かない足を必死に動かそうとする。