独眼狼ーワンアイウルフー
コックピット内部に取りつけられた通信機から声が響く。
少年の声なのだが、少し声のトーンが高めである。
『レクスそいつで最後だぞーっ』
「……分かってる」
その声に応えたのはレクスと呼ばれた少年。
その声はどこか冷めた雰囲気をかもしだしていた。
銀色の髪。
整った顔立ちに目立つ、右目の大きな傷痕。
その傷痕が原因なのか、少年の右目は閉じたままである。
通信を切り、少年は口を開けた。
「…行けるな、ケルベロス」
『勿論だ』
少年の言葉に、少年の乗る機械獣…ケルベロスが応える。
ケルベロスは、狼をモチーフにした特殊型陸用機械獣。
黒い体に映える、燃えている様に紅い鬣(たてがみ)。
……そして、右目に傷痕。