独眼狼ーワンアイウルフー
レクスは目を瞑り、神経を研ぎ澄ます。
目の前の景色は消え、暗闇が広がる。
──………カツンッ
暗闇の中で響いた僅かな音をレクスは聞き取った。
「そこか。……ケルベロス」
『言われるまでもない』
レクスが呼びかけるよりも早く、ケルベロスは走りだした。
微かな音を聞き取った場所─…300mほど北に進んだ所に、1体の機械獣が岩陰に身を潜めていた。
虎をモチーフにしたシンディウス王国陸用機械獣、タイガー。
先ほどの戦闘中に見失っていた、最後の1体。
ケルベロスの気配に気づいたタイガーがケルベロスを攻撃しようと、跳びかかって来た。
とっさにケルベロスは、タイガーの爪を跳び退いてかわす。