独眼狼ーワンアイウルフー


少しの沈黙の後、レクスは口を開いた。


「……まだだった」
『なら急ぐんだな、報告は早めにするものだ…』


お前に言われなくてもする、と呟きレクスはコックピットに取りつけてある通信機に手をのばした。

慣れた手つきで操作し、応答を待つ。


『あっレクスさん、終わりましたか?』


通信機から響く声は先ほどかけて来た少年のものではないが、まだ幼さが目立つ少年の声である。


「……イルムか。今から基地に戻る」
『了解しました』


手短に通信を切り、ケルベロスに声をかける。


「戻るぞ、ケルベロス」
『…了解だ』


ケルベロスは未だ燃え続けるタイガーに背を向け、基地へと向け駆けだした。


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