独眼狼ーワンアイウルフー
オフィスビルに取り付けられた巨大スクリーンに、写し出される映像。
映像の内容は、軍服を着た若い女性が軍基地前で毎度同じ台詞を繰り返す…というもの。
それはジーンデーン共和国に住む者なら知らない筈がない映像だった。
「勝利に導きましょう……か」
「どうしたの?お兄ちゃん」
巨大スクリーン前を行き交う人々の中で、足を止めスクリーンを見つめる2人。
ぽつりと言葉を溢したのは、まだ幼さが少し残る長身の少年。
少年の言葉に首を傾げた小柄な少女は、隣に居る兄を見上げた。
天高くに輝く太陽の光が当たり、少年の銀色の髪がキラキラと輝いている。
少女の髪も少年に負けない程、銀色に輝いていた。