独眼狼ーワンアイウルフー
レオナの背が見えなくなった頃に、ようやくアルバートが口を開く。
「で、何の用だ?」
「はい、実はゲンブの事で…」
整備士からゲンブという単語が出た瞬間、アルバートは眉をしかめた。
「ゲンブ?ゲンブがどうしたんだ…?」
「先ほどの戦闘の傷だと思うのですが…ゲンブの甲羅に少しだけ亀裂が入っていました」
アルバートが目を見開く。
これくらいの亀裂なら、支障にならないのですが…と詳しい説明を始めた整備士の言葉など、アルバートの耳に届いていなかった。
「しかし、この力はフェンリルにも匹敵を─……」
「…くっ、はははは!!」