独眼狼ーワンアイウルフー
倉庫を出た後、アルバートの足はそのまま自室へと向かっていた。
自室に入ると、明かりすらつけず職務用の机の上に伏せていた写真立てを手に取る。
「……マリア」
誰かの名を呼び、アルバートは写真立てを強く握った。
その時のアルバートの顔は、さっきまでの何かを楽しむ様な表情ではなかった。
──…むしろ、悲しみや後悔といった負の感情に満ちている様に見える。
空いている方の手で、アルバートは目を強く押さえた。
「マリア…。おれは、俺は…どうすれば良い…?」
アルバートの口から溢れた声は、先ほどまでの彼からは想像もつかないほど弱く…か細い声だった。
…しかし、そのアルバートの問いに答える者は誰もいなかった―……。