独眼狼ーワンアイウルフー
ケルベロスの牙がタイガーの胴体に貫通する。
とどめとばかりに爪で同じ箇所を裂けば、タイガーの胴体が2つに分かれた。
ケルベロス達から離れた所にいる、タイガーの操縦士が叫ぶ。
『上官!!』
『に、逃げ……』
その言葉の続きは爆音に消えた。
「…後1人、か」
ケルベロスの周りでは、あちこちでタイガーが撃破され火の手が上がっていた。
レクスがこの場に来た時タイガーは6体いた。
しかし、今タイガーは1体だけになっていた。
『く、くそ……っ』
タイガーが一歩、後ずさる。
その動きを黙って見ていたレクスが口を開いた。
「…逃げたかったら、逃げろ」
『な、に…っ?』
「お前みたいな奴…倒しても倒さなくても同じだ……。…撃破されたくないなら、逃げろ」
レクスがそう言い放つと、タイガーの操縦士が声を震わせ呟いた。
『…逃げる、もんか……っ』
タイガーの操縦士がそう言うと同時に、タイガーがケルベロスに向かって駆ける。
ケルベロスの頭部を狙った爪を、軽く飛び退いてかわす。