独眼狼ーワンアイウルフー



レクスは右目の傷痕に触れた。


「…………同じ、か…」
『…何がだ?レクス』


自分が思っていた事を勝手に呟いた事に気づいたレクスは、首を横に振った。


「いや……なんでもない、気にするな…」


レクスの言葉にそうか、と短く返しケルベロスは口を閉ざした。


(……戦っている理由は俺もさっきの奴も同じ、か…)


沈黙の中、レクスは再び考え始めた。

この戦場には、様々な目的や思いを持つ者がいる。

自分に与えられた仕事として、戦う者。

戦う事自体に魅入られ、それを快楽とし戦う者。


……そして、自分と同じ様に今は亡き大切な人の仇を討つために戦う者。

さっきのタイガーの操縦士は、殺された家族の復讐のために戦おうとしていた。

自分も同じだ。

シンディウス軍に殺された、妹の復讐の為に戦っている。


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