独眼狼ーワンアイウルフー
だから、あの操縦士の気持ちが痛い程分かった。
家族を失った悲しみ。
家族を殺された恨み。
…家族を守れなかった自分への怒り。
その入り混じる気持ちの中で自分自身を失わないために、復讐をする。
復讐する相手だけを憎しみ、恨めば自分は責任を背負わずにすむ。
………いつか自分の復讐は終わるんだろうか、そう思い胸元にさげたシルバーリングを取りだし、強く握った。
目を閉じれば、今も浮かぶ妹の…エディリアの姿。
あの時から変わらない姿。
あの【カルテルの悲劇】の時から、ずっと……。
シルバーリングを握る力が自然と強くなり、爪が掌に食い込みかけた時…
『レクス!!』
空から響く声を聞きレクスは右手の力を緩め、左目を開いた。
ケルベロスは歩くのを止め、そしてグリフォンがその隣に降りて来た。
「…コハク」
『お疲れ様。空の方は全部片づけたよ』
「……そうか、こっちも終わらせた。ルイは……」
『さっき会ったよ。撃破されて怪我した操縦士の応急手当てしとくってさ』