独眼狼ーワンアイウルフー
「……そうか…」
そう呟きケルベロスを歩かせようとした時、コハクがレクスに問いかけた。
『ねぇレクス。…なんかあった?』
思わずレクスは目を見開いた。
そんな事を聞かれるとは思っていなかったから。
「……何で、そう思う」
レクスが逆に問いかけるとコハクはうーん…と悩みつつも応えた。
『なんていうか……声のトーンとか雰囲気がいつもと違う気がしてさ』
うまく言い表せないのか、コハクの口調はたどたどしかった。
しかし、コハクの言葉はレクスを驚かせるのに充分すぎるものだった。
「……そう、か…?」
レクスの呟きに、コハクが少し唸った。
『なんとなくだけどさ…そんな気がしただけ』
コハクは笑ってそう応えると、グリフォンの翼を広げた。
そのまま飛びたとうとしたコハクを…
「……コハク」
レクスが呼び止めた。
『ん?どうしたの?』
グリフォンに羽ばたきを止めさせ、コハクが首を傾げた。
「コハクは…」
少しの間を置き、レクスが言葉を続けた。
「コハクは…何の為に、戦ってるんだ……?」