独眼狼ーワンアイウルフー
先ほどまでアーマードベアがいた場所に、その何かが爪をたて飛び降りて来たから。
ケルベロスがアーマードベアを押し飛ばさなければ、今頃あの爪の餌食になっていただろう。
その事を理解したのか、ケビィンが冷や汗を大量にかく。
ケルベロスはその何かを…、白い機械獣を睨み続けている。
「……っ」
レクスはその機械獣を見て、驚愕を隠しきれずにいた。
『え…、そんな……』
ルイも驚愕の声を漏らした。
狼の姿をした機械獣。
白の体に、金色に輝く鬣(たてがみ)。
色こそ違うが、他はケルベロスに類似している点が多い。
『…ふん、フェンリルの爪をかわすか』
白い狼の姿をした機械獣から声が響く。
その声は、レクスに似た冷徹な響きがある。
白い機械獣はケルベロスに視線を向けたまま、動こうとはしなかった。
不意に、白い機械獣の操縦士が口を開いた。
『貴様がケルベロス…か。今まで我が軍の者が随分世話になったな』
「……お前がスパイダーを」
『あぁ、俺が破壊した。…そうすれば来ると思ったからな!!』
言葉の途中で、白い機械獣がケルベロスに爪を向ける。
それを後ろに飛び退き、ケルベロスがかわす。