独眼狼ーワンアイウルフー



先ほどまでアーマードベアがいた場所に、その何かが爪をたて飛び降りて来たから。

ケルベロスがアーマードベアを押し飛ばさなければ、今頃あの爪の餌食になっていただろう。

その事を理解したのか、ケビィンが冷や汗を大量にかく。

ケルベロスはその何かを…、白い機械獣を睨み続けている。


「……っ」


レクスはその機械獣を見て、驚愕を隠しきれずにいた。


『え…、そんな……』


ルイも驚愕の声を漏らした。



狼の姿をした機械獣。

白の体に、金色に輝く鬣(たてがみ)。

色こそ違うが、他はケルベロスに類似している点が多い。


『…ふん、フェンリルの爪をかわすか』


白い狼の姿をした機械獣から声が響く。

その声は、レクスに似た冷徹な響きがある。

白い機械獣はケルベロスに視線を向けたまま、動こうとはしなかった。

不意に、白い機械獣の操縦士が口を開いた。


『貴様がケルベロス…か。今まで我が軍の者が随分世話になったな』
「……お前がスパイダーを」
『あぁ、俺が破壊した。…そうすれば来ると思ったからな!!』


言葉の途中で、白い機械獣がケルベロスに爪を向ける。

それを後ろに飛び退き、ケルベロスがかわす。


< 86 / 241 >

この作品をシェア

pagetop