ええねん
 
 やる気がめらめらと燃えてくる感じ。

 前の学校では常にエース張ってたからこういう高揚感ってない。

 少なくとも大事な試合の前とかじゃなければ。

 校内では確実にエースだったから。


「なぁ、いいだろうカツリョウ」


 カツリョウ?

 小柴の視線を追うと、それは勝に向かって言った言葉だとわかる。



 勝が、カツリョウ?



「オレ勝亮太っていうんだよ、略されてカツリョウ」


「人気者なんやなぁ」


「どうだか」


「それか、なめられてるかのどっちかやな」


 ポツリと言うと教室には再び沈黙。

 そしてその後の爆笑。



 ま、大阪人は人間観察が厳しいと言うことで。



「新人扱いしてロードを毎日やってもらってもいいんだぞ」


「教師が真顔で冗談言うもんやないで」


「オレは本気だけど?」


「オレの実力が見たないねやったらそれでもええわ、走るの好きやし」


「口ではかなわないな」


 早速の白旗。

 オレは大いに笑った。


< 10 / 200 >

この作品をシェア

pagetop