ええねん

 そう。

 放課後一人でこんなとこで。

 したらあかんわ。


「コーチやカツリョウが一緒ならともかく、おかしいやろ?

 リョウ。

 こっち向けや。

 なんでシカトこくねん」


 そこでリョウはオレの顔を見る。

 上目づかいにオレの様子を探るような。

 そんな顔。

 オレに怒られたと思うてシュンとなっとんのか。


「怒ってるわけちゃうぞ?」


 たぶんそれは事実。

 イラついてはいるけど、怒ってはない。


「おまえがどんだけサッカーに必死なんかはわかってる。

 この努力かて認める。

 けど。

 今やることと違うやろ?

 おまえかて疲れてるはずや。

 心も身体も疲れてるはずや。

 ちゃんと休まなあかんねん。

 おまえも、オレらと一緒に休まなあかんねん。

 そうやろ?

 おまえだけ特別ってことは、ないやろ?」


 オレの問い。

 リョウはうなずかない。



 口を少しとがらせて。



 すねてんのか。

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